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【書評】『僕はホルンを足で吹く』障害を跳ねのける圧倒的な意思の強さ【感想】

こんにちは堀 理穂(@hori_riho)です。

ホルン演奏家のフェリックス・クリーザーさんが書いた『僕はホルンを足で吹く』という自伝本を読みました。

かる〜く紹介しますと、著者のフェリックスさんは生まれつき両腕がありません。なんと手の代わりに足を使ってホルンを演奏するのです。

当然ですが、音楽の世界にパラリンピックみたいな障害者部門はありません。奏でる音がすべてのシビアな世界で、実力でプロの座を勝ち取っているのです。

とりあえずわたしが言いたいのは「フェリックスさんは凄まじい人だ」ってことです。

わたしも生まれつき目に障害を持っているので、障害者でありながら音楽家であるフェリックスさんの生き方から、なにか学べるんじゃないかと思って本を読んでみました。

わたしの障害については↓のリンクに書いていますので、よかったら合わせて読んでみてください。

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まぁ、読んだ結果、めっちゃ学べましたね。。というか、障害の有る無しなんて小さなことに目を向けていた自分が恥ずかしいと思いました。

著者:フェリックス・クルーザーさんについて

僕、ホルンをやりたい」と、フェリックスさんが母親に言ったのは4歳のとき。

もちろんこのとき両腕はありません。本の中では、フェリックスさんがなぜホルンを始めたのか、生い立ち、そしてプロの演奏家のステージへ上がるまでの軌跡が書かれています。

フェリックスさんの演奏は↓の動画をどうぞ。

まるで手のように足を動かしているのが不思議な光景です。最初はもの珍しさが目立つけど、見ているとだんだんと演奏のほうに意識が奪われていきました。ホルンの倍音って綺麗だよなぁ。。

フェリックスさんはテレビや雑誌などでも取り上げられ、世界中から大きな反響があったそうです。現在はドイツを中心に世界中で演奏をしています。いつか生で聴いてみたいものだ…。

『ぼくはホルンを足で吹く』から学んだこと

圧倒的な意思の強さ

まず、障害のことより先にこれだけ言わせてください。

ひとつの楽器をやり続けるって、本当にすごいことだと思うんです。

というのも、わたしは音楽が好きで、過去にいろんな楽器を経験しているんですよ。

バンドでドラムを叩いてたり、学生のときは吹奏楽部(トランペット)だったし、ピアノもすこし習ってました。楽器だけじゃなく作詞作曲に編曲も。あ、ブログでは今まで言ってませんでしたが、実は音楽の専門学校(作曲コース)を卒業しています。

こんなことを人に喋ると「いろいろ楽器やっててすごいですね!」と言われることがある。

でも全然そんなことはなくて。むしろなんです。単純に飽きっぽいんですよ。

夢中で練習を続けるんですけど、ある日だんだんと興味が薄れていってしまう。それでも音楽は好きだから他の楽器に手を出す。まるでゲームソフトを投げ出して新しいゲームをプレイし始めるような感じ。

次から次へと楽器を変えていかないと音楽への興味が保てなかったのかもしれません。結果、どの楽器も中途半端になってしまいました。自信を持って「演奏できる」と言えるのはドラムくらいですかね…。

そんなわたしとは違い、フェリックスさんは4歳からずっとホルン一筋。ホルンを極めようとしている。これって本当にすごいことです。

きっと両腕がないことで壁を感じることもあると思います。この本の中でも『ミュート奏法(ベルの中に手を入れて音色を柔らかくする技法)』の習得に苦労した様子が書かれていました。足で操作できるようキャスターを設置したらしいんです。

そんなホルン奏者いたのか?前例のない道を試行錯誤し続けている。

創意工夫で壁を乗りこえ、4歳からホルンを吹き続けているのは、他ならぬ“意思の強さ”だと思います。わたしに足りてなかったものだ…。本当に尊敬します。

自分の障害をどう捉えているか

この本は著者の生き方を学ぶ本だと思いました。すべての行動がプロのホルン奏者であるというプライドに収束している。

障害の有るか無いかなんて些細なことのように思えてきます。


生まれたときから腕のない生活をしていて、それがフェリックスさんにとっての“普通”なんですよね。「もし自分が女に生まれていたら」みたいな想像をするのと似たようなものだと思います。

腕がどうやって動くのか興味はあるけど、本気で追い求めたりはしない。理想的な障害との付き合い方だと思いました。

結論を言うと、この本は障害者の生き方を学ぶ本ではありませんでしたあくまで一人の演奏家として書かれている本です。

人間関係をコントロールするのは難しい

腕のない生活の大変さは、その生活を送ることではなくて、他人との関係なんだ。

四肢の数ではなく業績で評価される。障害者として扱われることなく、障害とともに生きていく。

『僕はホルンを足で吹く』P.190より引用

要約すると、「“障害を持った演奏家”としてではなく、純粋に”ひとりの演奏家”として見てほしい」ってことですね。

プロとしてのプライドでしょう。自分の演奏に誇りを持っているからこそ、それ以外のところで評価されても嬉しくないと。

フェリックスさんの場合、演奏家として有名になるほどメディアは障害者として取り上げようとしてくる。それをコントロールするのは難しいみたいです。

先日書評を書いた『ぼくには数字が風景に見える』の内容に通じるものがあると思いました。サヴァン症候群であるダニエル・タメットさんも「普通になりたい」と嘆くように願うシーンがあるから。

障害者が言う「普通になりたい」の真意は「他人から普通に見られたい」ではないでしょうか。少なくともわたしはそう思うし、実際そう感じている。

自分の障害のことはある程度、自分で折り合いが付けられるんですよね。でも他人からの評価を受け入れるのは難しい。普通に生きているだけなのに障害者として見られるのが悔しい。

ただ、それについての対処法はふたりが実践してくれています。

フェリックスさんもダニエルさんも、自らが意思を持って行動することで他人からの評価を変えている。

自分が変われば周りの評価も変わってくる ということを身をもって教えてくれました。自伝ストーリーの本だとすごく勇気付けられます。わたしも意思をもって行動を起こしていかないと!

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まとめ:意思の強さを見習いたい

なにかひとつを極めるって本当にすごいことです。

熱意ってのは永遠には続かないと思うんですよ。四六時中ずっと燃やし続けるのは無理。熱意や情熱は切れかかった電球のようなもの。付いたり消えたりの繰り返しです。ある日とつぜん付かなくなるし。

やはりフェリックスさんのように人生の目的をしっかり持つことが大事ですね。4歳のときに「楽しい、面白そう」から始めたホルンが、「障害者ではなく演奏家として認めらる」という目標に置き換わっているように。

最近流行っている「好きなことだけで生きていく」ってフレーズがありますが、本質はこのあたりにあるんじゃないかなぁ。好きなものから何を見出せるか、ですね。

わたしは今ブログに熱中してるので、しばらくは熱意を切らさずに続けたい。ちゃんと目的を持って取り組み、もしどこかで熱意が切れたときは目的を思い出す。

フェリックスさんのように鋼のような意思を持って続けていきます。

読む前の注意点!

つらつらと感想を書いておいてなんですが、、あまり両手放しでオススメできる本ではありません(ここ本のタイトルと掛けてますよ!

理由は「音楽的すぎる」からです。

この本は株式会社ヤマハミュージックエンタテインメントホールディングスから出版されています。音楽の楽譜、音楽理論の本などをメインに出版している会社ですね。要するに音楽やってる人向けの本を出しているところです。

そのため、多くの音楽用語がなんの解説もなくいきなり出てきます。わたしは吹奏楽をやっていた経験があるのと、専門学校でも理論などは学んだので、音楽的な用語が出てきても難なく読めました。むしろ直感的にイメージしやすいので楽しめました。笑

音楽未経験の方はきっと読みづらいと思いますが、興味がある方は読んでみてくださいませ〜

以上、堀 理穂(@hori_riho)でした。ありがとうございました。