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【書評】『ぼくには数字が風景に見える』を読んで“個性”について考えた【サヴァン症候群】

こんにちは堀 理穂(@hori_riho)です。

今回はダニエル・タメットさんの『ぼくには数字が風景に見える』という本について書きます。すっごく素敵な本なのでみんなに知ってほしい。

とりあえず本のあらすじを読んでみてください。↓

数字は僕の友だちで、いつでもそばにある。

ひとつひとつの数字はかけがえのないもので、それぞれに独自の個性がある。

11は人なつこく、5は騒々しい。4は内気で物静かだ。

どうですかこれ。意味が分かる人います?

分からなくても大丈夫です。それが普通の感覚なので…。

この本は『サヴァン症候群』である著者ダニエル・タメットさんの半生を綴ったノンフィクションストーリーとなっています。

あらすじに書かれているのは、ダニエル・タメットさんが普段見ている風景です。数字を見ると、色、形、感情、肌触りなどを感じるという不思議な共感覚を持っているそうな。

本屋さんの脳科学コーナーで見つけたときは衝撃を受けましたね…。「共感覚!?おもしろそう!気になる!」と好奇心を掻き立てられられました。笑

しかし、いざ読んでみるとぜんぜん違ってて。中身が深いんですよ。

この本が一番伝えたいのは“数字の天才”と呼ばれるほどの凄まじいポテンシャルを、個性として受け入れられるようになる過程だと思います。

『共感覚』という物珍しさに惹かれて買ったものの、読み終わったときは“個性”について深く考えさせられました。

ダニエルタメットさんの半生

次の画像はダニエルさんが共感覚で見ている風景を表したものです。

なんとこれ、「53×131=6943」の計算をしているときのイメージだそうです。

53の図形、131の図形、そして掛け算の答え「6943」の図形が瞬時に浮かび上がるらしい…。どうなってるの。。

 

ダニエルさんは誰もが認める『言語と数字の天才』です。

この本でも、円周率22,500桁を暗記してギネス記録を樹立、たった2週間で他国の言語を習得するなど、常人の域を超えたエピソードが書かれています。すごすぎる…。

でも人生そんな成功ストーリーばかじゃ語れません。むしろ苦悩や困難のほうが印象に残りました。

サヴァン症候群と共感覚

サヴァンとか共感覚って、「天才」ってイメージがあるじゃないですか。ドラマや映画なんかでも超人的なキャラクターとして出てくるケースが多いです。

でも、この本で語られるのはそんな超人エピソードばかりではない。むしろ、手放しに喜べるような便利な能力ではないってことが分かります。

【サヴァン症候群とは】
記憶力、芸術など、特定の分野の能力で超常的な能力を発揮する一方で、社会的な一般スキルが著しく欠けている傾向がある

サヴァン症候群は超人的なすごい才能を発揮する反面、脳の発達障害を併せ持っています。

ダニエルさんもアスペルガー症候群患者で、対人関係において「行間を読み取ることができない」と言ってました。

『言葉を情報として受け取れるけど、なにを意図しているのかが分からない』だそうな。

例えば、『先生に「7×9は?」と訊かれても答えられなかった』というエピソードがあります。数学は得意教科なはずなのに。

これは先生が答えを求めているのを読み取れないからだそうです。

「7×9はいくつになるか言ってください」まで言われないと、計算の答えが63になることは理解できても、どう反応すればいいか分からないんだそうな。

幼少期は特に、そう言った食い違いのエピソードが多かったようです。

ダニエルさんにとっての日常は小さな違和感や歪みの連続だったのでしょうね。

人とは違うことで長所が潰される

周りの環境にうまく馴染めずに『普通になりたい』と願っているシーンがあります。

世の中は健常者のために回っていて、サヴァンやアスペルガーだけでなく、普通から外れた特徴を持っていれば違和感を感じてしまう。それは他人だけでなく、自分自身にとっても。

グループワークや協調性が重視される一方で、“人と違うこと”が生きづらさを与えているのも事実。

自分を隠しながら生きるのは、常に自分に嘘をつくようなものです。

『普通になりたい』と願い、自分を否定する姿…。なんだか悲しいなぁって思いました。

人生に劇的なV字ストーリーはない

自伝系の本では、困難から回復するV字ストーリーが付きものです。価値観を変えるキッカケになるような特別なシーンがありますよね。

でも、ダニエルさんの人生では、自分の殻を破るような劇的なシーンはなかったように思います。

ダニエルさんが変わった理由は至ってシンプル。「コツコツと、普通の人が掛かる時間よりも長い時間をかけて努力した」ことだと感じました。

他人よりも劣っていることを認めながら、少しずつ出来ることを増やして、自信を付けていったんですね。

幼少期からの小さな積み重ねが、ギネス記録(当時)を打ち立てるシーンやその先の人生へと繋がっていきます。

まさに『努力は報われる』ってこーゆーことなんだな、って思いました。

この本を通して学んだこと:個性の見つけ方

全体を通して、やっぱり共感覚を語っている部分が面白いです。人によって感じている世界がこんなに違うのか…と衝撃を受けました。

それと同時に、人間ひとりひとりが自分だけの世界を持っていることを改めて感じました。

よく考えたら、わたしたちだって目や耳を持っているじゃないですか。共感覚がなくても、自分が感じている世界は唯一無二で特別なものだと思うんです。

見ている景色や聞こえている音は同じでも、捉え方や表現の仕方は人それぞれ。

心理学でも「事実はひとつでも、解釈の仕方は無限にある」って言葉があります。わたしの好きな言葉です。

周りの意見、常識、一般論、そんな枠に自分を収めてしまうのは勿体ないよなぁって思いました。

枠からはみ出るのではなく、枠に捉われない生き方。それが個性なんじゃないかな。

自分の個性を見つけるには

なんだかんだ言いましたが、結局のところ「個性」って他人との違いじゃないですか。他人と比較してようやく実感するもの。

だから、個性の見つけ方ってのはシンプルで、

  • もっと自分を知る
  • もっと他人を知る

これに尽きると思います。分かっているつもりでも知らないことばかり。

そのうえで、表現のバリエーションを増やしたり、発信する力をつけたりすれば伸びるんじゃないかな。

まとめ:個性とはありのままの自分を表現する力

本の話に戻ります。

この本を読んでいるとき、「サヴァン症候群」や「共感覚」っていう新しいものに触れてワクワクしました。

でも、これがダニエル・タメットさんにとっての“普通”“ありのまま”なんですよね。他人と違うことを受け入れて、等身大の自分を曝け出しているだけ。

んな風に、ありのままの生き方・考え方をうまく言葉にして伝えられたなら、それが“個性”になるのでしょう。

わたしだって、いつも見ているものは人とは違うと思います。人それぞれの捉え方があるんだから。

常識とか、一般論とか、そーゆー枠に収めようとしないで、ありのままを言葉にすればいい。

今はまだ曖昧な言い方しか出来ずにいますが、いつか等身大の自分を表現できる日が来るといいなぁと思いました。

…なんか長くなったので1文でまとめましょうか。

目や耳で感じたことをありのまま伝えていけば、それが個性になるってこですよ!

もう一度だけ、本を紹介しておきます

ぜんぜん書評してねぇ..って思ったので、さいごに本の紹介しておきますね。

著者ダニエル・タメットさんが、自分の“個性”を受け入れて成長する過程を描いた自伝です。

まるでおとぎ話を読んでいる気分でした。「共感覚」が現実離れしているせいか、不思議の国のアリスみたいなメルヘンな印象を受けます。読んでいて心地よいと感じました。

なんでも、ダニエルさんのように言語能力に障害がないサヴァンは珍しいらしい。共感覚を通して見ている世界が、こんなにも詳細に表現されているのはとっても貴重だそうです。

だからこの本が出版されて、多くの人に感動を与えているのも奇跡的なことなんですよね。

奇跡のもとに生まれたこの本を、ぜひ手にとってみてください。